おまえのたっているところから、その火がよっくみえるはずじゃ。おまえは、一ばんじゅう、わしのもやす火をみとるんだよ。目をつぶったら、あかん。目をつぶったら、おまえはくらやみにつつまれてしまうからの。火をみつめながら、あったかい火のことを考えるんじゃ。それから、そこにすわって、おまえのために火をもやしつづける、このわしがいることを考えるんじゃ。
※山の上の火より引用
人間はどのくらいの寒さまで我慢できるものか?
凍えるようなスルタ山の峰の上で、たべものも、水も、きものも、毛布も、火もなしで一晩過ごして、死なずにいられたら、家と牛とヤギ、40ヘクタールの畑をくれてやる。
そんな賭けに挑むアルハは、賭けに勝つことができるのか。
すんなりと賭けの品を手にすることができるのか。
エチオピアに伝わる昔話が数話がおさめられたこの本は、どこか小気味よく、愉快でとんちがきいています。
あなたにも私にも、見守り応援してくれる人がきっといます。
★おまけ
20年ほど前に、友人の典子さんが教えてくれた本で、ずいぶん娘にも読み聞かせをしましたが、どちらかといえば私の方が気に入ってしまった本です。どこか憎めない人間くささが好きです。
著 | クーランダー、レスロー |
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訳 | 渡辺茂男 |
出版 | 岩波書店 |
初版 | 1963年7月18日 |