ローディング

ペンギンのヘクター

絵本・童話

自分が誰だかわからなくなる時がある。何者かになりたいと思う時も。

動物園からの移送中のアクシデントで、森のはずれにころがり落ちてしまったペンギンのヘクター。
森にははじめてみる木やたくさんの動物たち。
あおさぎ、かえる、うさぎ、かめ、りす、あらいぐま、ふくろう……。

ヘクターは、「きみはだれ?」と聞かれて「とりだよ」と答えるけど、ヘクターは飛ぶことができないし、動物たちに鳥じゃない理由を並べられて「ぼくってだれ?」とかなしくなってしまう。

上から見物していたカラスが、「ペンギンという鳥だよ。飛べないけれど、とてもうまく泳げるよ」とみんなに話すと、かもと魚とヘクターは、よーいどんで水の中へ。スィーと泳いだり、はねたり、とんぼ返りをしたり、それをみてみんなはヘクターに拍手喝采。

かもの、「なにもかも うまいって わけには いかないよ。ペンギンは みずのなかの アクロバット、ぼくらは そらの アクロバットさ」という言葉を聞き、自分がペンギンという鳥だということを教えてくれたカラスを抱きしめる。

考えてみれば人間以外の生き物も植物も、自分が何者であるか、自分に名前があることすらきっと知らない。
でも、何ができて何ができないかはきっとわかってる。

〇〇に自分のことあてはめてみて!
「〇〇はできないけれど、〇〇はとてもうまくできるよ」


★おまけ
ペンギンが好きだ。20歳前の冬、寸胴型のグレンチェックのコートを着ていた。背が低く俯きがちにちょこちょこと歩く姿がペンギンに似ていると言われペンギンを意識するようになった。
ある日、アパートの近くの赤い公衆電話(懐かしー)で電話をかけようとしている所へ、バイクに乗った当時の彼(現夫)が地面につきそうなほどの袋を持って現れた。そして満面の笑みで勢いよく差し出したものは、大きなペンギンのぬいぐるみ。「これを見たら買わずにはいられなかった」と。突然のプレゼントはスキップしたくなるほどうれしくて、それからペンギン好きが今に至っている。

あ、気がつきました?
ひばりが丘図書室のキャラクターは、そう、ペンギンです^^

ペンギンのヘクター

ルイーズ・ファティオ
ロジャー・デュボアザン
岡本 浜江
出版童話堂出版
初版1997年7月1日