もしも、話すことばが目に見えたら、どんなかたちをしているだろう
そんな問いかけからはじまります。
ことばは、不思議ですね。
ひとつの出来事を伝えるにも、楽しく伝えると楽しく伝わり、悲しく伝えると、それは悲しいこととして伝わります。
同じ言葉でも、ハートの形をしていることもあれば、棘の形をしていることもあります。また、声色や表情で、オレンジだったりグレーだったり、熱かったり冷たかったりするかもしれません。
私が丸いオレンジのつもりで発したことばが、もしかしたら相手には違う色や形で届くかもしれません。そんなつもりではなかったのに、という経験少なからずありませんか。
もし、ことばが目に見えたら、こわくて何も喋れなくなるかもしれないけれど、ことばのかたちを意識するだけで、私のまわりの小さな世界や、ちょっと大きな世界も少しづつ変わっていくのかな。言葉を超えていくことができるのかな。
優しいタッチで描かれた、ことばをあらわす絵がこころに沁みます。
★おまけ
昔、伝えた言葉がそのまま自分に跳ね返ってきて、とても辛いことがありました。
その時、ある方が「あなたが、とても困った悪いことが起こった。という顔で話したんじゃないでしょうか。それが相手に伝染したのでしょう。相手はあなたの気持ちを代弁してくれたに過ぎないのかもしれません。あなたが、とてもうれしいことがあったの!!一緒に喜んで!という表情や雰囲気で話したら、また結果は違ったかもしれませんよ」と私に声をかけてくれました。
私は、このことを一生忘れないだろうと思います。
著 | おーなり由子 |
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出版 | 講談社 |
初版 | 2013年7月26日 |